合同会社の設立
合同会社(LLC)の特徴・メリット
合同会社とは、比較的少数の個人又は法人が共同して事業を行うために出資して設立することを想定して作られた会社形態です。社員が1人だけであっても設立可能です。
合同会社の主な特徴・メリットとしては、次のような点があげられます。
- 有限責任
- ●合同会社の社員は、その出資の価額までしか会社の債務を弁済する責任を負いません。
- →社員にかかる事業上のリスクが低減されています。
- 内部自治の原則
- ●株式会社と異なり、合同会社では株主総会や取締役会といった機関を置く必要はなく、重要な事項の決定は、原則として総社員の同意によって行うことができ、更に、定款でこの要件を「社員の過半数の一致」のように軽減こともできます。
- →組織設計や意思決定を柔軟に行うことができます。
- ●利益配当については、社員の出資比率ではなく、定款で別の基準を定めて行うことも可能です
- →出資額が少なくても技術面や営業面において貢献のできる人材について、利益分配を多くすることにより、十分なインセンティブを与えることができます。
- 所有と経営の分離も可能
- ●合同会社は、原則として出資者(社員)が経営にも携わることになっていますが、社員の中から「業務執行社員」を選任して、実質的に社員の一部のみが業務を行うとすることもできます。
- →LLPと異なり、出資のみを行い業務にはタッチしないという関与の仕方も可能です。
- 会社としてのメリットを受けられる
- ●株式会社と同様に会社としての様々な税制上のメリット(節税効果)を受けられます。
- →実体は個人事業であっても、合同会社化することにより、税負担を軽減することができる場合があります。
- ●法人格があります。
- →LLPと異なり、会社名義で財産を登記・登録することができます。
- ●株式会社と同様に社債の発行も可能です。
- →金融機関からの借入以外の資金調達も可能です。
- ●株式会社への組織変更も可能です。
- 資本金の額を自由に決められる
- ●株式会社の場合、出資を受けた際に出資額の1/2以上を資本金に計上する必要がありますが、合同会社の場合、そのような制約はなく、出資を受けても資本金をまったく増加させないことも可能です。
- →大きな金額の出資を受ける場合も、資本金が増えることによる税制上のデメリットを回避することが容易です。
- 会計監査人を置く必要がない
- ●株式会社の場合、資本金又は負債の額が一定額以上となったときは会計監査人を置く必要がありますが、合同会社の場合、資本金や負債の額に関係なく会計監査人を置く必要はありません。
- 格安な設立コスト
- ●株式会社と異なり、定款認証を受ける必要がなく、また登記の登録免許税も安いので、設立コストを抑えることができます。
合同会社のデメリット
- 社会的な認知度が低い
- →株式会社と異なり、社会的な認知度があまり高くありませんので、取引先から見た信用度は、株式会社より一段落ちると考えられます。
- 会社としての行政上の手続の義務を負います。
合同会社の活用法
以上の合同会社の特徴を踏まえると、合同会社の活用法としては次のようなものが考えられます。
- スモールビジネスを始めるために活用
- 合同会社は、家族や友人などと少人数で事業を行う場合に適した会社形態と言えます。法人にしたいがあまり規模の拡大は考えていないと考える方に最適ですが、事業が拡大した場合に社会的な信用をつけるために株式会社に組織変更することもできますので、「小さく生んで大きく育てる」という道もあります。
- 「資産管理会社」として活用
- 賃貸マンション・アパートなどの事業用不動産を保有したり、株や有価証券などの保有・投資で相当な収入を得ている方は、「資産管理会社」を設立し、これらの資産を法人名義にすることで、個人で資産を保有し収入を得る場合と比べ、税率の軽減などのメリットが出る場合があります。「資産管理会社」は、合同会社として設立しても株式会社と同様の節税メリットが受けられるほか、設立コストを大幅に軽減することができます。
- 「法人成り」の手段として活用
- 個人事業を営んでいるが税負担が重いため何とかしたいという場合、合同会社を設立して「法人成り」することにより、節税になる場合があります。
- SPC(special purpose company)として活用
- 証券化やプロジェクト・ファイナンスにおいては、投資家や金融機関からの資金調達や資産の小口化のための器として合同会社を活用するということが一般的に行われています。
⇒次に合同会社の設立に必要な準備をご覧ください。
⇒他の会社形態についてもご覧ください。
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