有限責任事業組合(LLP)設立
LLPの特徴・メリット
有限責任事業組合(LLP)とは、個人又は法人が共同して事業を行うために組合契約を締結することによって成立させる組織(組合)です。
LLPは、次の4つの点を主な特徴・メリットとします。
- 有限責任
- LLPの組合員は、その出資の価額までしか組合の債務を弁済する責任を負いません。
- →組合員にかかる事業上のリスクが低減されています。
- 内部自治の原則
- LLPの内的な業務分担や権限は、総組合員の同意があれば自由に定めることができ、株式会社のように、株主総会や取締役会といった機関を置く必要もありません。
- 重要な意思決定をする場合の議決権や損益分配についても組合員間で自由に定めることができます。
- →出資額が少なくても技術面や営業面において貢献のできる人材について、権限を強めたり利益分配を多くしたりすることにより、十分なインセンティブを与えることができます。
- 構成員課税(パス・スルー課税)
- LLPについて生じた損益については、LLP自体では課税されず、損益の分配を受けたLLPの構成員(組合員)においてのみ課税されます。
- →LLPが利益をあげた場合には、株式・合同会社のような二重課税の問題が生じません。
- →LLPが損失を出した場合には、組合員が損失を取り込み、組合員の他の所得とLLPの損失を通算することにより、節税対策に利用することができます。
- 共同事業性の要件
- すべての組合員がLLPの業務執行を行なう権利義務を有し、業務執行を完全に委任することはできません。
- →組織としての意思決定の健全性を保つことが期待できます。
LLPのデメリット
LLPには、メリットもある反面、次のようなデメリットも指摘されています。
- 法人格がない
- 株式会社や合同会社と異なり、LLPには法人格が認められていません。
- →LLPの名義で契約締結、財産所有、金融機関の口座開設等をすることができません。そのため、契約は組合員の肩書付の名義で締結(契約の効力はLLP自体に及びます)、財産は組合員の合有、口座は組合員の肩書付で開設するなどする必要があります。
- →合同会社のように株式会社に組織変更することはできません。
- 決構成員課税(パス・スルー課税)の問題点
- 個人の組合員がLLPから配当を受ける場合、所得税が課されます。
- →所得税は累進課税なので、LLPの事業が大きな利益を生む場合は、会社で事業を営んだ場合と比べ、税制上不利益となる場合があります。
- 「共同事業性の要件」の問題点
- LLPでは、単に出資だけを行なう組合員は認められません。
- →業務執行を行なわない多くの投資家から資金を集めることは困難と言えます。
- ベンチャー投資などの投資事業には、別の制度である「投資事業有限責任組合」を活用することになります。
LLPの活用法
以上のLLPの特徴を踏まえると、LLPの活用法としては次のようなものが考えられると言えます。
- 企業同士の共同研究開発を行なうための組織として活用
- 中小企業同士が連携し、共同受注を行なうための組織として活用
- 隣接する分野の専門的人材が連携して共同事業を行なうための組織として活用 etc
いずれも、組合員が個々の得意分野を活かして1つの共同事業を行なうという形ですが、このようなケースでは、出資額だけでなく、組合員の能力に応じた貢献が事業成功のカギとなりますので、個々の貢献度に応じて議決権や損益分配を決めることができる柔軟性をもつLLPは、組織形態として適していると言うことができます。
また、LLP以前に会社・個人で事業を営んでいる組合員は、LLPの事業で利益が出た場合は、二重課税をされることなく利益を組合員自身の収入に入れることができますし、LLPの事業で損失が出た場合には、組合員自身が損失を取り込み、組合員の他の所得と通算することにより、節税対策に利用することができます。
⇒次にLLPの設立に必要な準備をご覧ください。
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